経営人材の採用は、一般的な人材採用とはまったく性質が異なります。部長以上やCxOクラスになると、「求人を出せば応募が集まる」「エージェントに頼めば何とかなる」という発想では、思うような結果につながらないケースがほとんどです。
実際、「経営人材を採用したいが、手法が多すぎて選べない」「媒体に出しても反応がない」「紹介に頼るのは不安だが、他に方法が分からない」といった悩みを抱える企業は少なくありません。
結論から言えば、経営人材は『転職市場にいる前提』で探すと、採用が行き詰まりやすいという構造的な問題があります。重要なのは、企業のフェーズや目的に応じて採用手法を使い分けることです。
本記事では、経営人材の採用手法を7つに整理し、それぞれのメリット・デメリット、向いているケースを詳しく解説します。読み終える頃には、自社に合った採用手法と、次に取るべきアクションが明確になるはずです。
本記事で扱う「経営人材」とは、単なる管理職ではなく、企業の意思決定や成長戦略に直接関与するポジションを指します。
具体的には、部長以上、事業部責任者、執行役員、CxO(CEO/COO/CFO/CTO/CHROなど)、さらには次期社長候補といった役割が該当します。
役割別に見ると、COOは戦略を現場で実行に落とし込む存在、CFOは資金調達や管理体制を支える要、CTOは技術・DXの方向性を決めるキーパーソン、CHROは組織づくりと人材戦略の中核を担います。
一般職採用との決定的な違いは、評価軸がスキルや経歴以上に、「成果の再現性」「意思決定の質」「組織やカルチャーとの相性」に置かれる点です。この前提を押さえることで、採用手法の選び方がブレにくくなります。
経営人材の採用が難航しやすい背景には、いくつかの構造的な理由があります。
まず、母数が圧倒的に少ないこと。部長以上・CxOクラスになると、そもそも市場に存在する人数自体が限られます。
さらに重要なのが、多くの経営人材は積極的に転職活動をしていないという点です。現職で一定のポジションや裁量を持っているため、「良い話があれば考える」というスタンスの人が大半を占めます。
また、求人票だけでは経営人材に響く情報を十分に伝えきれません。彼らが重視するのは、役職名よりも「何を任され、どこまで裁量があり、どんな成果を期待されているのか」という具体的なミッションです。
加えて、経営人材採用は失敗した際のコストが非常に大きく、組織の混乱や成長鈍化、再採用による時間ロスにつながります。このリスクの大きさが、採用難易度をさらに高めています。
社内登用は、企業文化や事業内容への理解が深く、周囲との関係構築もスムーズに進みやすい点が強みです。定着率も比較的高く、組織の安定という観点では有効な手法と言えます。
一方で、事業変革や急成長フェーズでは、外部での経験不足が課題になることも少なくありません。「今までの延長線上」から抜け出せないリスクも考慮が必要です。
スピード感があり、信頼関係を前提に話を進めやすいのがメリットです。経営者同士のネットワークから有力候補が見つかることもあります。
ただし、候補者の幅が限定されやすく、断りにくさから評価が甘くなる点には注意が必要です。
まずは限定的な関与から始められるため、相性や実行力を見極めやすい手法です。ミスマッチのリスクを抑えたい企業には向いています。
ただし、フルコミットへの転換は別のハードルがあり、必ずしもそのまま経営参画につながるとは限りません。
転職市場にいる人材を効率的に集められる点がメリットです。比較的スピーディーに候補者を見られるため、一定の役職レベルまでは有効に機能します。
一方で、経営幹部クラスになると母集団が薄く、本命候補に出会えないケースも少なくありません。
企業主導で候補者に直接アプローチできるため、戦略的に採用を進められます。
ただし、要件設計やスカウト文面、口説き方まで含めた設計が必要で、経営陣や人事の工数負担は大きくなりがちです。
広く募集をかけられる点はメリットですが、応募者の中心は転職意思の強い層です。転職市場にいない本命候補には届きにくいという限界があります。
転職意思のない層にも直接アプローチでき、要件定義から候補者評価、意思決定支援まで一貫してサポートを受けられるのが特徴です。
経営人材採用において成功確率を高めやすい一方で、サーチ会社の選び方が成果を大きく左右します。
リファラルや一般紹介を軸に検討しつつ、難易度が高い場合はエグゼクティブサーチを並行して活用するのが現実的です。
ダイレクトリクルーティング、もしくはエグゼクティブサーチが有力な選択肢になります。
顧問からの登用や、第三者評価を含むエグゼクティブサーチが向いています。
専門領域に強い紹介会社、またはエグゼクティブサーチの活用が効果的です。
経営人材の採用手法に正解はありません。重要なのは、自社のフェーズや課題に応じて手法を選び、必要に応じて外部の力を活用することです。
特に、転職市場にいない人材を狙う場合や、失敗が許されない経営ポジションの採用では、エグゼクティブサーチという選択肢が有力になります。手法を比較したうえで、自社に最適な採用戦略を描くことが、経営人材採用成功への近道と言えるでしょう。
画像引用元:タイグロンパートナーズ公式HP
https://www.tiglon-partners.com/ex-search/
コンサルタントが各業界に精通し経営課題と理念を理解し、そこに共感した人材を紹介しているため、ミスマッチが起こりづらいのが特長。時間をかけてでも自社の課題を把握し解決できる人材の採用を行いたい企業向けと言えるでしょう。
画像引用元:リクルートエグゼクティブエージェント
https://www.recruit-ex.co.jp/
リクルートが保有している日本屈指の人材ネットワークを活用できるため、スピーディーに人材を紹介することを得意としています。急遽補填が必要になった場合などできるだけ早く採用まで行いたい企業に向いていると言えるでしょう。
画像引用元:東京エグゼクティブ・サーチ公式HP
https://www.tesco.co.jp/
ピュアサーチと呼ばれるサーチ方法で「転職を絶対したくありません」といった人物にまでアプローチをしているのが特長。自社が求めるスキルを持つ人材を徹底的に洗い出してもらいたい企業に向いていると言えるでしょう。